SAPで会社コード・勘定コード表・管理領域を作成する|コピーと新規登録の実機手順

前の記事では、新会社コード構築で「既存設定をどこまでコピーするか」を実機で検証し、会社コード・運用勘定コード表・管理領域の組み合わせを見直した経緯を整理しました。

この記事では、その判断後に最終的に採用した作成手順を実画面で追います。

今回の構築では、すべてを新規登録したわけではありません。実際には、オブジェクトごとに次の方法を使い分けました。

対象今回の作成方法今回の実機値
会社(Company)新規登録Z091
会社コード(Company Code)既存 JP01 をコピー後、基本情報を変更Z091
運用勘定コード表(Operating Chart of Accounts)既存 CAJP を参照して別名コピーZJP1
管理領域(Controlling Area)新規登録Z091

この記事のポイントは、「新会社コードを作る=すべて新規登録」ではないことです。

実機では、コピーできるものはコピーしつつ、コピー元の設定をそのまま引き継ぐと不整合になる部分は新規登録へ切り替えました。


検証情報

項目内容
SAP製品SAP S/4HANA 2025
導入形態On-Premise
UISAP GUI for HTML
検証日2026-07-18〜2026-07-20
公式仕様再確認2026-09-11
対象領域FI / CO
主なT-code / AppIMG / OB13 / OB62 / OKKP
検証レベル実機確認済
会社Z091
会社コードZ091
参照会社コードJP01
勘定コード表ZJP1
参照勘定コード表CAJP
管理領域Z091

1. 今回の作成順序

今回の実機作業は、次の順序で進めました。

  1. 会社 Z091 を新規登録
  2. 会社コード JP01 を Z091 へコピー
  3. コピー後の会社コード Z091 の基本情報を変更
  4. 会社コード Z091 を会社 Z091 へ割り当て
  5. 既存勘定コード表 CAJP を参照して ZJP1 を作成
  6. OB62で会社コード Z091 に ZJP1 を割り当て
  7. 管理領域 Z091 を新規作成し、ZJP1 / V3 等を設定

この順序はSAP標準で定められた唯一の手順という意味ではありません。今回の検証で実際に採用した作業順序です。

筆者判断: 今回は、参照会社コードの既存設定を利用できる部分はコピーしつつ、運用勘定コード表と管理領域は新会社用の構成に合わせて作成する方針としました。


2. 会社Z091を新規登録する

最初に、企業構造の「会社」を新規登録しました。

今回入力した主な値は次のとおりです。

項目今回の値
会社Z091
会社名株式会社検証用091
国/地域JP
言語キーJA
通貨コードJPY

実機確認: 新規エントリ画面で会社 Z091 と会社名を入力し、国/地域 JP、言語 JA、通貨 JPY を設定しました。

会社Z091を新規登録した画面
図1:会社Z091を新規登録した画面

SAP一般仕様: SAP Helpでは、会社は関連する法的要件に従って個別財務諸表を作成する組織単位と説明されており、1つの会社には1つ以上の会社コードを含めることができます。会社の定義自体は任意(optional)です。

今回の検証では、会社コード Z091 と対応させる会社として Z091 を作成しました。


3. 会社コードJP01をZ091へコピーする

次に、会社コードを作成しました。

ここは「新規エントリ」でゼロから登録したのではなく、既存会社コード JP01 を参照して Z091 へコピーしています。

コピー画面では、参照会社コードとコピー先会社コードを次のように指定しました。

項目今回の値
参照会社コードJP01
コピー先会社コードZ091

コピー実行後、SAP画面上で次のメッセージを確認しました。

実機確認: 「会社コード JP01 が Z091 にコピーされました」と表示され、会社コードコピーが完了しました。

会社コードJP01をZ091へコピーし、完了メッセージを確認
図2:会社コードJP01をZ091へコピーし、完了メッセージを確認

SAP一般仕様: 会社コードは、外部会計で完全かつ自己完結した一式の勘定を作成できる最小の組織単位です。SAP Helpでは、財務会計(Financial Accounting)を導入するには少なくとも1つの会社コードを定義する必要があると説明されています。

今回の実機では、コピー後の会社コード Z091 に参照元由来の基本情報が残っていたため、コピー完了後に新会社向けの基本情報へ変更しました。


4. コピー後の会社コード基本情報を変更する

会社コード Z091 のコピー後、会社コード基本情報を確認しました。

参照元からコピーされた情報を、新会社向けの値へ変更します。

今回の最終値は次のとおりです。

項目今回の値
会社コードZ091
会社名株式会社検証用091
国/地域JP
通貨JPY
言語JA

実機確認: 会社コード Z091 の詳細画面で、会社名、国/地域、通貨、言語が新会社向けの値になっていることを確認しました。

会社コードZ091の基本情報を新会社向けに変更
図3:会社コードZ091の基本情報を新会社向けに変更

筆者判断: 今回は会社コードをコピーで作成しましたが、コピー完了をもって設定完了とはせず、参照元から引き継がれた基本情報を確認してから次工程へ進む方がよいと判断しました。

この判断は今回の実機作業から得たものです。SAP標準の必須確認順序として一般化しているわけではありません。


5. 会社コードZ091を会社Z091へ割り当てる

続いて、会社と会社コードを関連付けます。

「割当: 会社コード -> 会社」の画面では、最初は会社 Z091 に対する会社コードの割り当てが空欄でした。

その後、会社コード Z091 を設定しました。

実機確認: 会社コード Z091 の「会社」欄に会社 Z091 を設定し、会社コードと会社の割り当てを行いました。

会社Z091の会社コード割当を未割当からZ091設定へ変更した前後比較
図4:会社コードZ091を会社Z091へ割り当てた前後

SAP一般仕様: SAP Helpでは、会社を使用する場合、会社コードを会社へ割り当てる構成が説明されています。

今回の検証では、会社と会社コードをどちらも Z091 としていますが、これは今回のテスト環境で採用したコード体系です。SAP標準として同一コードにする必要があるという意味ではありません。


6. CAJPを参照して新しい運用勘定コード表ZJP1を作成する

会社コードの基本情報を整えた後、運用勘定コード表を準備しました。

既存の CAJP をそのまま会社コード Z091 で利用するのではなく、CAJP を参照して新しい ZJP1 を別名でコピーしています。

実機確認: 全勘定コード表一覧で CAJP を選択し、コピー先として ZJP1 と「株式会社検証用091用勘定コード表」を指定しました。

CAJPを参照して新しい運用勘定コード表ZJP1を作成
図5:CAJPを参照して新しい運用勘定コード表ZJP1を作成

この操作は、前の記事では「コピーと新規作成の方針をどう決めたか」という観点で扱いました。

この記事では、最終的に採用した成功手順の一部として位置付けています。

SAP一般仕様: SAP Helpでは、各会社コードには運用勘定コード表を割り当てる必要があると説明されています。


7. OB62で会社コードZ091へZJP1を割り当てる

新しい運用勘定コード表 ZJP1 を作成した後、会社コード Z091 に割り当てます。

OB62の画面で、会社コード Z091 の勘定コード表に ZJP1 を設定しました。

実機確認: Z091 の勘定コード表欄に ZJP1 を設定し、画面下部の「データが保存されました」を確認しました。

OB62で会社コードZ091へ運用勘定コード表ZJP1を割り当てて保存
図6:OB62で会社コードZ091へ運用勘定コード表ZJP1を割り当てて保存

この時点で、会社コード側の運用勘定コード表は ZJP1 になりました。

次に、この会社コードと整合する管理領域を作成します。


8. 管理領域Z091を新規作成する

管理領域については、既存 JP01 のコピー案を途中で取りやめ、Z091 を新規作成しました。

コピー案を中止した理由と、FC139 / KT299の実機結果は前の記事で詳しく整理しています。

今回の新規管理領域で設定した主な値は次のとおりです。

項目今回の値
管理領域Z091
名称株式会社検証用091
CoCd→管理領域1(管理領域と会社コードが同一)
通貨JPY
運用勘定コード表ZJP1
会計年度バリアントV3
原価センタ標準階層Z091_STD

実機確認: OKKPで管理領域 Z091 を新規登録し、ZJP1、V3、Z091_STD 等を設定したうえで、「データが保存されました」を確認しました。

管理領域Z091にZJP1・V3・標準階層を設定して保存
図7:管理領域Z091にZJP1・V3・標準階層を設定して保存

SAP一般仕様: SAP Helpでは、管理領域に割り当てる勘定コード表は、その管理領域に割り当てる会社コードの運用勘定コード表と同じである必要があります。

今回の最終構成では、会社コード Z091 と管理領域 Z091 の双方が ZJP1 を使用する構成としました。


9. 最終的な組織・基本設定

今回の作業を整理すると、次の構成になりました。

オブジェクト作成方法最終値参照元
会社新規登録Z091―
会社コードコピー後に変更Z091JP01
運用勘定コード表別名コピーZJP1CAJP
管理領域新規登録Z091―
会計年度バリアント既存値を使用V3―
通貨既存値を使用JPY―

この結果、会社コード Z091 と管理領域 Z091 は同じ運用勘定コード表 ZJP1 を使用する構成になりました。


10. 「コピー」と「新規登録」を使い分けた理由

今回の実機検証では、次のように作成方法を使い分けました。

  • 会社:新規登録
  • 会社コード:既存会社コードをコピー後に変更
  • 運用勘定コード表:既存勘定コード表を別名コピー
  • 管理領域:新規登録

筆者判断: 今回の作業では、既存設定を利用する部分はコピーし、コピー元の前提が新会社の最終構成と合わない部分は新規登録へ切り替えました。この方が、今回の構成では最終状態を整理しやすいと判断しました。

ただし、これは今回の要件・実機構成に対する判断です。

「会社コードはコピーするのが正しい」「管理領域は新規作成すべき」といったSAP標準の推奨として扱うものではありません。


11. 前の記事との違い

前の記事とこの記事では、一部同じ実画面を使用していますが、記事の目的を分けています。

記事主な目的
前の記事コピー案を試し、FC139 / KT299を経て方針転換した理由を説明
この記事最終的に採用した会社/会社コード/勘定コード表/管理領域の作成手順を説明

前の記事は設計判断の記事、この記事は最終構成の設定手順記事です。

この分け方により、試行錯誤の経緯を残しつつ、実際に設定するときはこの記事だけを順番に追える構成にしています。


12. まとめ

今回の実機検証では、新会社用の基本組織を次の方法で作成しました。

  1. 会社 Z091 を新規登録
  2. 会社コード JP01 を Z091 へコピー
  3. 会社コード Z091 の基本情報を新会社向けに変更
  4. 会社コード Z091 を会社 Z091 へ割り当て
  5. CAJP を参照して運用勘定コード表 ZJP1 を作成
  6. OB62で会社コード Z091 に ZJP1 を割り当て
  7. 管理領域 Z091 を新規作成し、ZJP1 / V3 / Z091_STD を設定

今回の実機では、「コピーか新規作成か」を全体で一律に決めず、オブジェクトごとに作成方法を分けることで最終構成まで登録できました。

この後は、作成した会社コード Z091 へG/L勘定を移行・拡張する工程へ進みます。


参考情報

  • SAP Help Portal: Company(会社)

Company

  • SAP Help Portal: Company Code(会社コード)

Company Code

  • SAP Help Portal: Cost Accounting and Charts of Accounts(原価計算と勘定コード表)

Cost Accounting and Charts of Accounts