新会社コードのMM評価エリアを設定し、OBYCの自動勘定設定を確認する
今回やること
新しい会社コードでMMの購買・在庫業務を始めるには、プラントや購買組織だけでなく、品目在庫をどの単位で評価し、MMの取引からどのG/L勘定へ自動転記するかを確認しておく必要があります。
今回の検証では、新会社コード Z091 に対する評価エリアと評価グループコードを確認したうえで、OBYCの自動勘定設定を確認しました。
今回の環境では、評価グループコードと既存のOBYC設定を確認した結果、新会社コード用としてOBYCを追加変更する必要はないと判断しました。
検証情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品 | SAP S/4HANA 2025 On-Premise |
| UI | SAP GUI for HTML |
| 対象領域 | MM / FI |
| 会社コード | Z091 |
| 勘定コード表 | ZJP1 |
| 評価エリア | Z091 |
| 評価グループコード | 0001 |
| 主なT-code | OMWD / OBYC |
| 補助確認 | OMSK |
この記事に記載する Z091、ZJP1、0001、G/L勘定番号は、今回の検証環境で使用した値です。SAP標準の推奨値や、他環境でもそのまま使用すべき値という意味ではありません。
評価エリアとOBYCの関係
SAPでは、品目をどの組織レベルで評価するかを評価エリア(Valuation Area)で管理します。評価レベルの設定によって、プラントまたは会社コードを評価エリアとして使用します。SAP Helpでも、在庫の評価・更新・表示は設定された評価エリアのレベルで行われると説明されています。
参考:SAP Help Portal - Plant, Company Code, and Valuation Area
今回の環境では評価レベルがプラントであるため、プラント Z091 が評価エリア Z091 となります。
一方、MMの自動勘定決定では、在庫移動や請求書処理などの業務取引からFIへ転記するときに使用するG/L勘定を決定します。
新会社コード側の評価設定を確認する
OMWDで評価エリア Z091 の設定状態を確認すると、今回の実機では次の組み合わせになっていました。
| 項目 | 確認値 |
|---|---|
| 評価エリア | Z091 |
| 会社コード | Z091 |
| 勘定コード表 | ZJP1 |
| 評価グループコード | 0001 |

ここで確認した評価グループコード 0001 は、後続のOBYC設定を確認するときのキーになります。
OBYCの自動勘定設定を確認する
続いてOBYCで、勘定コード表 ZJP1 に対する代表的な自動勘定設定を確認しました。
BSX:在庫転記
BSXでは、評価グループ 0001、評価クラス 3100 に対してG/L勘定 122100 が設定されていました。

評価クラスは、品目ごとにどの在庫勘定を使用するかを分けるための重要な要素です。SAP Helpでも、異なる品目を評価クラスへまとめることで、品目ごとに別々の在庫勘定を管理する必要をなくす仕組みが説明されています。
参考:SAP Help Portal - Valuation Structure
WRX:入庫/請求仮勘定
WRXでは、評価グループ 0001 に対して 461200 が設定されていました。

WRXはGR/IR clearing accountに使用される取引キーです。
参考:SAP Help Portal - WRX_GR/IR Clearing Account
GBB/VBR:相手勘定
GBBでは、一般修正 VBR、評価グループ 0001、評価クラス 3100 の組み合わせに対して、借方・貸方とも 823200 が設定されていました。

PRD:価格差異
PRDでは、評価グループ 0001、評価クラス 3100 に対し、借方 887000、貸方 877000 が設定されていました。

今回確認した代表設定をまとめると、次のとおりです。
| 取引キー | 条件 | G/L勘定 |
|---|---|---|
| BSX | 0001 / 3100 | 122100 |
| WRX | 0001 | 461200 |
| GBB / VBR | 0001 / 3100 | 823200 |
| PRD | 0001 / 3100 | 借方 887000 / 貸方 877000 |
今回OBYCを変更しなかった理由
今回の検証では、評価エリア Z091 に評価グループコード 0001 が設定されており、その組み合わせで必要なOBYC設定がすでに存在していました。
そのため、新会社コードや購買組織を追加したという理由だけでOBYCを再設定するのではなく、評価エリア、評価グループコード、評価クラスと既存の勘定設定の関係を確認したうえで、今回は追加変更しないと判断しました。
これはSAP標準の唯一の設定方法という意味ではなく、今回の実機構成を確認したうえでの判断です。
注意点
OBYCのG/L勘定を確認するときは、取引キーだけで判断せず、評価グループコードや評価クラスなど、実際に勘定決定へ使用される条件を確認する必要があります。
特に、この記事で使用している評価クラス 3100 やG/L勘定 122100 などは今回の検証環境の値です。他の会社コードや品目で同じ番号になるとは限りません。
新しい会社コードを構築するときは、既存設定をそのまま変更する前に、どのキーの組み合わせで現在のG/L勘定が決定されているかを確認することが重要です。
まとめ
今回の実機検証では、新会社コード Z091 のMM評価設定として、評価エリア Z091、勘定コード表 ZJP1、評価グループコード 0001 の組み合わせを確認しました。
そのうえでOBYCを確認すると、BSX、WRX、GBB/VBR、PRDについて既存の自動勘定設定を利用できる状態でした。このため、OBYCへ新しい勘定を追加するのではなく、既存設定との整合を確認する形で進めています。
新会社コード構築では、評価エリアから自動勘定決定までのつながりを確認してから、設定変更の要否を判断することがポイントです。

