F110で日本向けDME生成がエラーになる|T043S・取引銀行DMEデータ・使用文字を確認

今回やること

F110で支払実行まで完了していても、銀行向けの支払媒体を生成するDME(Data Medium Exchange)の段階で別のエラーに止まることがあります。今回の検証では、RFFOJP_Tによる国内振込用DME生成を進める中で、T043S、取引銀行のDMEデータ、発行者情報、銀行名・支店名の文字に関するエラーが順番に発生しました。

この記事では、実際に発生したジョブログを起点に、どこを確認し、何を変更したところ次の処理へ進んだかを整理します。F110の支払提案から支払実行、仕入先明細の消込、支払伝票の確認までについては、先に公開したF110自動支払を新会社コードで実行する|提案・支払・仕訳まで確認で扱っています。本記事は、その後のDME生成に範囲を絞ります。

検証情報

項目 内容
SAP製品 SAP S/4HANA 2025 On-Premise
UI SAP GUI for HTML / Fiori
検証日 2026-08-28〜2026-08-29
対象領域 FI(自動支払・日本向けDME)
主なT-code / 確認先 F110、OBA0、FBZP、FI12_HBANK、SE16N、DME管理
対象プログラム RFFOJP_T
主な検証値 会社コード Z091、支払方法 T、通貨 JPY
検証レベル 実機トラブルシューティング。エラー発生から設定確認、再実行、DME生成まで確認

SAP Helpでは、日本国内振込の支払媒体について、支払方法TとRFFOJP_Tを組み合わせて国内振込用の電子ファイルを生成する方式が案内されています。SAP Help: Payments by Domestic Bank Transfer

なお、今回のDME生成に入る前段階では、T042Kの不足と銀行関連G/Lの見直しも行っています。ただし、本記事ではDME生成処理に入った後に発生したエラーへ範囲を限定します。

先に結論:今回のDME生成では4段階で止まった

今回の実機では、1つの設定を直すと次のチェックへ進み、別のエラーが表面化しました。最終的な流れは次のとおりです。

順番 エラー 今回確認した箇所 再実行結果
1 T043S未登録(SAPメッセージ F5 100) T043S / OBA0 通過
2 取引銀行DMEデータ未登録(SAPメッセージ F0 192) 取引銀行DMEデータ / T012D-DTFIN 通過
3 発行者詳細・無効文字(SAPメッセージ F0 191 / BF00 196) 支払方法の発行者情報 通過
4 銀行名・支店名・無効文字(SAPメッセージ F0 193 / BF00 196) 銀行名・支店名の文字 通過しDME生成

この結果から、DME生成エラーでは最初に表示されたメッセージだけで原因を決め打ちせず、修正後の再実行ログを追って次のチェックへ進めることが重要だと判断しました。

1. T043S未登録のエラーが発生する

最初に表示されたのは、SAPメッセージ F5 100「登録値 Z091 がテーブル T043S にありません」です。RFFOJP_Tの処理はそこで止まりました。

F110のジョブログに表示された「登録値 Z091 がテーブル T043S にありません」エラー
図1:F110ジョブログでT043S未登録エラーを確認

T043Sは、会社コード単位の許容範囲に関係する設定です。SAP Helpでは、許容グループを指定せず空白で定義した許容範囲は、個別の許容グループを持たない取引先に対するデフォルトとして利用できることが説明されています。SAP Help: Differences Within Tolerance Limits

今回の環境ではOBA0で会社コードZ091の行を作成し、許容グループは空白のまま保存しました。別会社コードの金額や割合をそのままコピーするのではなく、今回必要だったデフォルト行だけを作成し、不要な限度額は設定していません。

OBA0で会社コードZ091の許容範囲を登録し、データ保存を確認した画面
図2:OBA0で会社コードZ091のデフォルト許容範囲を登録

保存後にF110を再実行すると、このT043S未登録エラーは発生しなくなり、次に取引銀行のDMEデータ未登録エラー(SAPメッセージ F0 192)が表示されました。ここで重要なのは「空白グループが日本向けDMEの必須設定」と一般化しないことです。今回の実機ではT043SにZ091の該当行がなく、空白グループのデフォルト行を登録した後にこのエラーを通過しました。

2. 取引銀行のDMEデータ未登録を解消する

次に表示されたのは、SAPメッセージ F0 192「取引銀行 Z091 Z091 の DME データが登録されていません」です。

F110のジョブログに表示された「取引銀行 Z091 Z091 のDMEデータが登録されていません」エラー
図3:F110ジョブログで取引銀行DMEデータ未登録エラーを確認

SAP KBA 3376078でも、日本向けの支払媒体生成時にSAPメッセージ F0 192「DME data is missing for house bank」が発生する事象が案内されています。SAP KBA 3376078

今回の環境では、取引銀行Z091のDME関連データを調べ、FI12_HBANK上のDME項目とテーブルT012Dを確認しました。技術項目はDTFINで、今回の検証用値として9999999999を設定しました。その後、SE16NでT012Dを確認すると、会社コードZ091・取引銀行Z091の行でDTFINに同じ値が保存されていました。

T012Dで会社コードZ091と取引銀行Z091のDTFINに検証用値9999999999が保存されている画面
図4:T012DでDTFINの保存値を確認

9999999999は今回の検証用値です。SAP標準値や推奨値ではありません。実案件では、使用する支払媒体、銀行との契約、会社側で採番・管理する識別情報などに合わせて正しい値を確認する必要があります。今回の記事で確定できるのは、T012D-DTFINへこの検証値を保存した後、取引銀行のDMEデータ未登録エラーを通過したという実機結果までです。

3. 発行者情報と使用文字を見直す

取引銀行のDMEデータ未登録エラーを通過すると、今度はSAPメッセージ F0 191「支払方法 T、会社コード Z091 に無効な発行者詳細があります」と、SAPメッセージ BF00 196「テキスト内に無効な文字があります」が同時に表示されました。

FBZPの支払方法に関する書式データを確認すると、「書式上の振出人」に文字化けした文字列が入っていました。今回の検証では、この部分を1行目Z091 TEST COMPANY、2行目TOKYO JAPANへ変更して保存しました。

F110で発行者詳細と無効文字のエラーが発生したジョブログと、書式上の振出人をZ091 TEST COMPANY・TOKYO JAPANへ修正した画面
図5:発行者詳細と無効文字のエラーを確認し、発行者情報を修正

再実行すると、発行者詳細のエラーは発生しなくなりました。ただし、ここで「英数字へ変えれば必ず正しい」とは判断していません。今回の設定値は、エラーを切り分けるために採用した検証用文字列です。

SAP KBAでは、JP_ZENGINKYOやRFFOJP_Tの支払媒体生成でSAPメッセージ BF00 196が発生し、カンマやスラッシュなど特定文字が無効文字として判定される例が公開されています。したがって、このメッセージを単純な「日本語禁止」や「ASCIIだけが正しい」という問題に置き換えるのではなく、ジョブログが示す実際の対象文字と、支払媒体で許容される文字を確認する方が安全です。SAP KBA 3635419 / SAP KBA 3777927

4. 銀行名・支店名で無効文字が検出される

発行者情報を直した後の再実行では、SAPメッセージ F0 193「銀行名または支店名が無効です」と、SAPメッセージ BF00 196「テキスト内に無効な文字があります」が表示されました。ジョブログでは、続けて文字「銀」が無効文字として示されました。

F110のジョブログで銀行名または支店名の無効エラーが発生し、文字「銀」が無効と判定された画面
図6:銀行名の「銀」が無効文字として検出されたジョブログ

今回のテスト銀行マスタでは銀行名にZ091 テスト銀行を使用していました。そこで、銀行名をZ091 TEST BANK、支店名をZ091 BRANCHへ変更しました。再実行すると、銀行名・支店名と無効文字に関するエラーは解消しました。

ここも一般化には注意が必要です。「漢字をすべて英字へ変えること」がSAP標準の唯一の解決策だと確認したわけではありません。今回の実機では、ジョブログが特定した文字を含む銀行名・支店名を検証用の英数字表記へ変更した結果、次の処理へ進みました。実際の本番運用では、銀行マスタの正式名称と支払媒体仕様を確認した上で対応する必要があります。

再実行でRFFOJP_Tが正常終了し、DMEを生成できた

銀行名・支店名を変更した後に再実行すると、RFFOJP_Tは正常終了しました。ジョブログには生成されたDMEファイルが表示され、最後に「ジョブが終了しました」と記録されました。

RFFOJP_TのジョブログでDMEファイルが生成され、ジョブが正常終了したことを確認した画面
図7:RFFOJP_T正常終了とDME生成を確認

続いてDME管理を確認すると、実行IDZ091T、支払額11,000 JPY、レシーバZ091、書式JP.JISのデータ媒体が作成されていました。

DME管理で実行ID Z091T、支払額11,000 JPY、レシーバZ091、書式JP.JISの生成結果を確認した画面
図8:DME管理でJP.JISの生成結果を確認

今回のDME内容照会では固定長レコードも確認し、レコード種別1・2・8・9が生成されていることを確認しています。ただし、その画面には銀行・口座関連情報が多く含まれるため、本文画像には掲載していません。記事の結論に必要な範囲は、図7の正常終了と図8のDME管理で確認できます。

SAP KBA 2180292では、日本向けDMEのコード種別としてJIS/EBCDICに関する情報も案内されています。今回の実機で確認した生成結果はJP.JISです。SAP KBA 2180292

切り分けるときに意識したいポイント

今回の検証で最も重要だったのは、「最初のエラーを直せばDME生成が完了する」と考えないことでした。T043S未登録を解消すると取引銀行のDMEデータ未登録が表面化し、その後に発行者情報、最後に銀行名・支店名の使用文字へ確認箇所が移りました。各段階のSAPメッセージIDは原因を追跡する手掛かりになりますが、本文ではエラー内容と確認箇所を中心に整理しています。

また、別会社コードや参照環境の設定をそのままコピーする方法も採用しませんでした。T043Sの許容額、DTFIN、発行者情報、銀行マスタ名称はいずれも業務要件や銀行側仕様に依存し得ます。今回の値は、Z091の検証環境で処理を進めるために採用した値として扱う必要があります。

無効文字のメッセージについても、番号だけから「文字コードの問題」と決めつけるより、ジョブログが具体的にどの文字を指しているかを確認する方が調査しやすいと感じました。今回も、発行者情報の文字列を直した後に、別の銀行名フィールドで「銀」が検出されています。対象フィールドを1つずつ切り分ける方が、変更範囲を小さく保てます。

まとめ

F110の支払実行が完了していても、日本向けDME生成では追加の設定・マスタチェックにより処理が止まることがあります。今回の実機では、T043S、取引銀行DMEデータ、発行者情報、銀行名・支店名の順でエラーを解消し、最終的にRFFOJP_Tの正常終了とJP.JISのDME生成まで確認できました。

同じエラーを調べる場合は、ジョブログのメッセージクラスと番号、具体的な対象項目、修正後の再実行結果をセットで追うのが有効です。特にDTFINの値や文字表記は環境固有の要素を含むため、この記事の検証値をそのまま本番設定へ流用せず、実際の銀行・支払媒体要件に合わせて確認してください。