SAP消費税の自動仕訳を確認する|V2・A2と税勘定の実機検証
今回やること
SAPで税コードを使って伝票を転記すると、税額はどのG/L勘定へ計上されるのでしょうか。
今回は、検証環境で使用している仕入税コード V2 と売上税コード A2 を対象に、税設定と実際に生成された会計伝票を照合しました。
確認するポイントは次の2つです。
- 仕入側:
V2 → VST → 148200 - 売上側:
A2 → MWS → 422100
設定画面だけではなく、実際の会計伝票まで確認することで、設定した税勘定へ税額が転記されていることを追います。
SAP Helpでは、仕入税・売上税の税額は税勘定へ自動転記され、税率は税コードの定義によって決まると説明されています。また、SAPの税コード設定例では、MWSが売上税(Output Tax)、VSTが仕入税(Input Tax)の勘定キー(Account Key)として示されています。
検証情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SAP製品 | SAP S/4HANA 2025 On-Premise |
| UI | SAP GUI for HTML |
| 対象領域 | FI(消費税・税勘定・会計伝票) |
| 検証記録 | 2026年8月 |
| 検証レベル | 税設定と実会計伝票を照合 |
| 主なT-code / 確認経路 | FTXP(税コード・税勘定)、FBL3N(仕入税G/L明細)、VF01 → 請求伝票[会計管理](売上側FI伝票) |
これらは今回の検証で実際に使用した経路の参考情報です。他環境でも同一の経路になることを前提とするものではありません。
この記事に登場する会社コード、勘定コード表、税コード、G/L勘定などは、今回の検証環境で使用した値です。SAP標準の唯一の設定値や推奨値を示すものではありません。
今回確認する設定値
今回の対象を先に整理すると、次のようになります。
| 区分 | 税コード | 税タイプ | 内部処理 | 税G/L |
|---|---|---|---|---|
| 仕入側 | V2 | V | VST | 148200 |
| 売上側 | A2 | A | MWS | 422100 |
仕入側の 148200 は仮払消費税、売上側の 422100 は仮受消費税として使用しています。
ここから、設定画面と実伝票を順番に照合します。
仕入側:V2の税率とVSTを確認する
まず、仕入税コード V2 の設定を確認します。
FTXPで国/地域コードJPを確認し、税コードV2を指定して税率画面を確認しました。次の内容を確認できます。
- 国/地域コード:JP
- 税コード:V2
- 税タイプ:V
- 説明:消費税10%・仕入
- 内部処理:VST
- 税率:10.000%

この画面から、今回の検証環境ではV2が仕入側の税コードとして設定され、VSTに10.000%の税率が設定されていることが分かります。
なお、V2 というコードそのものを「SAP標準の10%仕入税コード」と一般化することはできません。税コードや税率は国・環境の設定によって異なります。SAPの国別サンプルでも、税コードの内容はローカライゼーションによって異なります。
VSTに割り当てられた税勘定を確認する
続いて、V2の税率画面から[税勘定]を開き、勘定コード表ZJP1を指定して税勘定を確認しました。
税勘定画面では、
- 勘定コード表:ZJP1
- 税コード:V2
- 内部処理:VST
- G/L勘定:148200

ここで注意したいのが、画面の追加情報に「すべての税コード」と表示されている点です。
そのため、この画面を根拠に「148200はV2だけに割り当てられた勘定」とは判断しません。
今回確認できるのは、V2を表示した状態で、内部処理VSTに対する税勘定として148200が設定されているというところまでです。
実伝票で148200への転記を確認する
設定だけでなく、実際の伝票も確認します。
仕入側は、FBL3NでG/L勘定148200の明細を確認しました。今回の確認では会社コードZ091、全明細、転記日付08/16/2026を指定しています。
仕入先請求で生成された会計伝票 5100000000 の仮払消費税明細では、次の内容を確認できました。
| 項目 | 実機結果 |
|---|---|
| G/L勘定 | 148200 |
| 伝票番号 | 5100000000 |
| 伝票タイプ | RE |
| 金額 | 1,000 JPY |
| 税コード | V2 |

これにより、今回の仕入側では、
V2 → VST → 148200 → 1,000 JPYの税明細
というつながりを、設定画面と実伝票の両方から確認できました。
図3では148200の税明細を直接確認しているため、この記事では仕入先勘定やGR/IR勘定を含む請求仕訳全体までは扱いません。
仕入先請求でのGR/IR・仮払消費税・仕入先債務を含めた仕訳全体については、PO→MIGO→MIROの購買サイクル実機検証で確認できます。
売上側:A2とMWSの税勘定を確認する
次に売上側を確認します。
売上側もFTXPで税コードA2を選択し、[税勘定]から勘定コード表ZJP1を指定して確認しました。
税コード A2 の税勘定画面では、
- 勘定コード表:ZJP1
- 税コード:A2
- 内部処理:MWS
- G/L勘定:422100

SAP公式資料では、MWSは売上税(Output Tax)、VSTは仕入税(Input Tax)の勘定キー(Account Key)として示されています。
一方、今回のSAP画面ではVST/MWSは「内部処理」として表示されています。
今回の検証環境では、このMWSに対する税勘定として 422100 を使用しています。
こちらの画面でも追加情報は「すべての税コード」となっているため、422100をA2だけの専用勘定とは判断しません。
売上伝票で422100への転記を確認する
売上側は、VF01で参照伝票80007009からF2請求伝票90005891を作成し、請求画面の[会計管理]からFI伝票9400000000を確認しました。
実画面では3明細が確認できます。
| G/L・対象 | 金額 |
|---|---|
| 売掛金 | 2,200 JPY |
| 売上 811100 | 2,000 JPY |
| 仮受消費税 422100 | 200 JPY |
仮受消費税の明細には税コード A2 が設定されています。

借方・貸方を含めて整理すると、今回確認した伝票は次の構成です。
| 借方/貸方 | G/L・対象 | 金額 |
|---|---|---|
| 借方 | 売掛金 113100 | 2,200 JPY |
| 貸方 | 売上 811100 | 2,000 JPY |
| 貸方 | 仮受消費税 422100 | 200 JPY |
同じFI伝票の明細を右へスクロールして確認すると、仮受消費税行で税コード A2 と内部処理 MWS も確認できました。
したがって売上側では、
A2 → MWS → 422100 → 200 JPYの税明細
まで追跡できました。
この仮受消費税200 JPYを含むFI会計伝票が、受注・出庫転記・請求のどの段階で生成されたかは、SD→FIの仕訳を追う実機検証で確認できます。
設定画面と実伝票を照合すると分かりやすい
今回の結果をまとめると、次のようになります。
| 区分 | 税コード | 内部処理 | 設定した税G/L | 実伝票で確認した税額 |
|---|---|---|---|---|
| 仕入 | V2 | VST | 148200 | 1,000 JPY |
| 売上 | A2 | MWS | 422100 | 200 JPY |
SAP Helpでも、仕入税・売上税は基準額から計算され、税額は税勘定へ自動的に転記される仕組みが説明されています。
実機で確認する場合は、税コード画面だけを見るのではなく、
税コード → 画面上の内部処理(VST/MWS) → 税勘定 → 実会計伝票
の順で追うと、設定と結果の対応を確認しやすくなります。
確認時の注意点
今回の検証で特に注意したい点は3つあります。
1つ目は、V2、A2、148200、422100は今回の検証環境の値だということです。他のSAP環境でも同じ値になるとは限りません。
2つ目は、税勘定画面の「すべての税コード」です。この表示があるため、今回の画面から「このG/L勘定はV2またはA2だけに使われる」とまでは判断していません。
3つ目は、設定画面だけで完了としないことです。設定値が想定どおりでも、実際に生成された会計伝票で税コード・税勘定・税額を照合することで、設定から転記結果まで確認できます。
まとめ
今回の実機検証では、仕入側と売上側について次の対応を確認しました。
- 仕入:
V2 → VST → 148200 → 1,000 JPY - 売上:
A2 → MWS → 422100 → 200 JPY
税コードや税G/Lの番号そのものは環境固有ですが、設定と実伝票をつなげて確認するという見方は、消費税の自動仕訳を確認するときの基本的なチェックポイントになります。

