新会社コード用の利益センタ・原価センタを作成してFI転記まで確認する

今回やること

新しい会社コードを構築する際、利益センタや原価センタはマスタを登録できただけでは十分ではありません。実際の会計伝票で、設定した利益センタやセグメントが期待した形で引き継がれるかまで確認しておく必要があります。

今回は、利益センタ(Profit Center)と原価センタ(Cost Center)を新会社コード用に作成し、最後にFI伝票を転記して、原価センタ・利益センタ・セグメント(Segment)が各明細へどのように設定されたかを確認します。

確認の流れは次のとおりです。

利益センタ作成 → 会社コード割当確認 → 原価センタ作成 → FI転記 → 会計伝票で結果確認

設定画面だけでなく、最終的な会計伝票まで追うことで、COマスタとFI転記のつながりを実機で確認します。

検証情報

項目内容
SAP製品SAP S/4HANA 2025 On-Premise
UISAP GUI for HTML
検証日2026-08-09
対象領域CO / FI
会社コードZ091
管理領域Z091
通貨JPY
会計年度バリアントV3
主なT-codeKE51 / KS01 / FB50 / FB03
検証レベルマスタ作成からFI転記結果まで確認

今回使用する Z091、Z091TEST02、1000_C などは、この検証環境で使用したテスト用の値です。SAP標準の推奨値を示すものではありません。

利益センタと原価センタの関係

利益センタ(Profit Center)は、組織を管理会計上の責任単位として捉え、収益や費用などを分析するために使用します。

SAP Helpでは、利益センタは管理領域に割り当てられ、利益センタ単位で業績を分析するための組織単位として説明されています。

原価センタ(Cost Center)は、費用が発生する組織単位を管理するためのマスタです。原価センタのマスタには、会社コード、通貨、階層上の位置、利益センタなどの情報を設定できます。

今回の検証では、原価センタに利益センタを割り当てたうえでFI転記を行い、会計伝票上でどのように引き継がれるかを確認します。

セグメントが導出されなかったケースについては、「利益センタからセグメントが導出されない原因を実機で追う」で別途検証しています。

利益センタZ091TEST02を作成する

トランザクション KE51 を使用して、新会社コードで使用する利益センタ Z091TEST02 を作成しました。

今回確認した主な設定は次のとおりです。

項目設定値
管理領域Z091
利益センタZ091TEST02
有効開始日2026-04-01
セグメント1000_C

利益センタにはセグメント 1000_C を設定しています。

利益センタZ091TEST02の基本データ画面。管理領域Z091とセグメント1000_Cを表示
図1:利益センタZ091TEST02の基本データ。管理領域Z091とセグメント1000_Cを確認

続いて、会社コードの割当を確認しました。

今回の利益センタでは、会社コード Z091 が割り当てられています。

利益センタの会社コード割当画面。会社コードZ091が割当済み
図2:利益センタの会社コード割当。会社コードZ091が割当済みであることを確認

ここでは、利益センタを作成しただけで終わらせず、後続のFI転記で使用する会社コードとの関係も確認しています。

原価センタZ091TEST02を作成する

次に、トランザクション KS01 を使用して原価センタ Z091TEST02 を作成しました。

主な設定値は次のとおりです。

項目設定値
管理領域Z091
原価センタZ091TEST02
原価センタカテゴリW
階層エリアZ091_STD
通貨JPY
利益センタZ091TEST02

今回のポイントは、原価センタ Z091TEST02 に利益センタ Z091TEST02 を割り当てていることです。

原価センタZ091TEST02の基本データ画面。カテゴリW、階層エリアZ091_STD、通貨JPY、利益センタZ091TEST02を表示
図3:原価センタZ091TEST02の基本データ。カテゴリW、階層エリアZ091_STD、通貨JPY、利益センタZ091TEST02を確認

SAP Helpでも、原価センタのマスタ項目として利益センタへの割当が定義されています。

保存後、原価センタが登録されたことを確認しました。

原価センタZ091TEST02の登録完了メッセージ
図4:原価センタZ091TEST02の登録完了を確認

ここまでで利益センタと原価センタのマスタ作成は完了です。

ただし、この時点では「FI伝票で期待どおり引き継がれるか」はまだ確認できていません。

FI転記で利益センタとセグメントを確認する

続いて、トランザクション FB50 でFIのテスト伝票を転記し、FB03 で結果を確認しました。

確認対象とした会計伝票は 100000002 です。

この伝票では、費用1,000円、仮払消費税100円、銀行1,100円(貸方)の3明細を確認しています。

実際の伝票データでは、各明細の原価センタ・利益センタ・セグメントは次の結果になりました。

G/L勘定原価センタ利益センタセグメント
826700Z091TEST02Z091TEST021000_C
111200―Z091TEST021000_C
148200―Z091TEST021000_C
会計伝票100000002のデータ入力ビュー。3明細に利益センタZ091TEST02とセグメント1000_Cを表示
図5:会計伝票100000002の3明細で利益センタZ091TEST02とセグメント1000_Cを確認

費用明細 826700 には、原価センタ Z091TEST02、利益センタ Z091TEST02、セグメント 1000_C が設定されています。

一方、銀行勘定 111200 と仮払消費税 148200 には原価センタは設定されていませんが、利益センタ Z091TEST02 とセグメント 1000_C は確認できました。

SAP Helpでは、利益センタへの実績転記について、原価センタなど他の勘定設定オブジェクトから割当情報を引き継ぐ基本的な仕組みが説明されています。また、利益センタマスタとの関係からセグメントが導出される例も示されています。

ただし、今回確認した3明細の結果だけから、すべてのFI伝票で同じ導出ロジックになるとは判断できません。

ここで確認できたのは、今回の検証環境・今回の伝票では、3明細すべてに同じ利益センタとセグメントが設定されたという実機結果です。

実機結果から分かったこと

今回の検証では、原価センタと利益センタで伝票明細への現れ方が異なりました。

原価センタ Z091TEST02 は費用明細 826700 に設定されていましたが、銀行明細と仮払消費税明細にはありませんでした。

一方、利益センタ Z091TEST02 とセグメント 1000_C は3明細すべてで確認できました。

この結果から、COマスタを確認するときはマスタ画面だけを見るのではなく、実際に転記された会計伝票で、原価センタ・利益センタ・セグメントがどの明細へ設定されたかを確認することが重要だと分かりました。

特に、原価センタと利益センタを「同じように全明細へ入る項目」と考えず、それぞれを別の項目として確認した方が切り分けしやすくなります。

まとめ

今回は、新会社コード用の利益センタ Z091TEST02 と原価センタ Z091TEST02 を作成し、FI転記まで確認しました。

利益センタにはセグメント 1000_C を設定し、原価センタには利益センタ Z091TEST02 を割り当てています。その後、会計伝票 100000002 を確認したところ、費用明細には原価センタ・利益センタ・セグメントが入り、銀行明細と仮払消費税明細では利益センタとセグメントを確認できました。

COマスタの設定では、登録完了を確認して終わるのではなく、FI伝票まで追って実際の転記結果を確認することで、設定した組織・マスタ間のつながりをより確実に確認できます。