AO90で固定資産の勘定設定を確認する|取得・除却・減価償却の考え方
今回やること
SAP S/4HANAの固定資産管理(FI-AA)では、資産の取得、除却、減価償却で使用するG/L勘定を、勘定設定(Account Determination)を通じて管理します。
今回はトランザクションコードAO90を使用し、勘定コード表ZJP1、勘定設定160020「機械及び装置」、償却領域1について、実際に設定されていた取得・除却・通常償却の勘定を確認します。
単に勘定番号を並べるのではなく、AO90の各項目が取得・除却・減価償却のどこに関係するのかを、SAP公式仕様と実機結果を分けながら整理します。
なお、この記事ではAO90の勘定設定確認までを対象とします。実際の資産取得、資産振替、資産除却、減価償却実行とFI伝票のE2E確認は後続記事で扱います。
検証情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SAP製品 | SAP S/4HANA 2025 On-Premise |
| UI | SAP GUI for HTML / Fiori |
| 対象領域 | FI-AA 固定資産管理 |
| 勘定コード表 | ZJP1 |
| 勘定設定 | 160020(機械及び装置) |
| 償却領域 | 1(帳簿償却) |
| 検証時期 | 2026年9月 |
| T-code | AO90 |
| 検証範囲 | 取得勘定割当、除却勘定割当、通常償却勘定割当、保存完了メッセージ |
AO90で何を確認するのか
SAP Helpでは、固定資産の勘定設定キーは資産クラスに指定され、償却領域ごとに資産の貸借対照表勘定や減価償却関連の損益勘定を設定できると説明されています。
今回の実機ではAO90を開き、画面上で勘定コード表ZJP1、勘定設定160020「機械及び装置」、償却領域1「帳簿償却」を選択した状態で、各勘定割当を確認しました。
ここで確認したG/L勘定番号は今回の検証環境で使用した設定値です。SAP標準の推奨値や、他環境でもそのまま使用すべき固定値ではありません。
取得勘定割当を確認する
取得勘定割当では、固定資産の取得価額に関係する勘定が表示されていました。
| AO90の項目 | 実機で確認したG/L勘定 | 画面上の説明 |
|---|---|---|
| 貸借対照表勘定 APC | 213100 |
機械及び装置 |
| 反対勘定: 取得価額 | 461310 |
固定資産取得-仮勘定 |
| 関連会社からの取得 | 461310 |
固定資産取得-仮勘定 |

SAP Helpでは、固定資産の取得はFI-AAの主要業務プロセスの一つとされ、直接資産計上や建設仮勘定を経由する取得など複数の方法があります。
今回の記事では、AO90画面で確認できた上記の勘定設定だけを実機事実として扱います。実際にどの取得トランザクションでどの仕訳が生成されるかは、この画面だけを根拠に断定しません。
除却勘定割当を確認する
同じAO90画面の除却勘定割当では、資産売却や廃棄に関連する勘定を確認しました。
| AO90の項目 | 実機で確認したG/L勘定 | 画面上の説明 |
|---|---|---|
| 資産廃棄損 | 921000 |
固定資産売却損 |
| 決済勘定: 資産売却益 | 896310 |
固定資産売却額 決済 |
| 資産売却益 | 911000 |
固定資産売却益 |
| 資産売却損 | 921000 |
固定資産売却損 |
SAP Helpでは、固定資産の除却には売却や廃棄などがあり、売却では売却収入と除却対象の帳簿価額との差額から利益または損失が決定されることが説明されています。
AO90に売却益・売却損・廃棄損などの項目が用意されていることは、この一般仕様と整合します。ただし、今回の実機確認はAO90の設定画面までであり、実際の除却伝票による仕訳結果そのものではありません。
設定を保存する
取得・除却側の勘定設定を確認した後、保存を実行しました。
画面上には「データが保存されました」と表示され、今回の操作では保存処理が正常に完了したことを確認できました。

今回確認できた実画面では、保存完了メッセージまでは直接確認できています。保存後に同じ画面を閉じて再表示し、全項目が保持されているところまでは確認できていないため、この記事では再表示確認済みとは記載しません。
通常償却勘定割当を確認する
通常償却勘定割当では、減価償却累計額と減価償却費に使用する勘定を確認しました。
| AO90の項目 | 実機で確認したG/L勘定 | 画面上の説明 |
|---|---|---|
| 通常減価の減価償却累計額勘定 | 213900 |
減価償却累計額-機械 |
| 通常償却の費用勘定 | 827030 |
減価償却費 - 機械 |

SAP Helpでは、減価償却時に累計減価償却額と減価償却費がそれぞれG/L勘定へ転記され、使用する勘定は資産クラス等の設定に応じて決まることが説明されています。また、減価償却実行では計画値をもとに財務会計のG/L勘定へ転記します。
今回の実機画面で確認した213900と827030は、この検証環境で通常償却用に設定されていたG/L勘定です。実際の減価償却実行結果やFI伝票はこの記事の実機確認範囲には含めません。
取得・除却・減価償却の考え方
AO90を確認すると、固定資産のライフサイクルに応じて異なる勘定群が設定されていることが分かります。
| 場面 | AO90で今回確認した主な勘定 | 理解のポイント |
|---|---|---|
| 取得 | APC勘定、取得価額の反対勘定 | 資産取得価額をどの貸借対照表勘定へ持つか、取得時の相手側をどう扱うかを確認する |
| 除却 | 売却益、売却損、廃棄損、売却額決済勘定 | 売却・廃棄時の損益や決済で使用する勘定を確認する |
| 減価償却 | 減価償却累計額、減価償却費 | 期間償却をどの累計額勘定・費用勘定へ転記するかを確認する |
この整理は、AO90の設定を読むときの考え方として有用です。ただし、実際の仕訳は取引内容、取引タイプ、償却領域、統合取引か非統合取引かなどによって変わり得るため、AO90の設定だけから個々の伝票仕訳を決めつけないことが重要です。
注意点・考察
第一に、勘定設定160020やG/L勘定213100、461310、921000、896310、911000、213900、827030は、今回の検証環境で使用した値です。SAP標準の推奨値や唯一の正解として一般化しません。
第二に、AO90の画面で勘定が設定されていることと、その勘定が実際の資産伝票で期待どおり使用されたことは別の確認です。設定画面だけを見て「取得・除却・減価償却の仕訳まで確認済み」とは判断しないようにしました。
第三に、今回は保存完了メッセージまで確認しましたが、保存後に画面を閉じて再表示したところまでは確認していません。この点を明記し、実際に確認した範囲を超えて結論を広げないようにしています。
前工程の固定資産番号範囲については、AS08で固定資産番号範囲を会社コードへコピーするで確認しています。
次のFI-AA E2E記事では、実際の資産取得、資産振替、資産除却、減価償却実行とFI伝票をつなげて確認する予定です。
まとめ
AO90で、勘定コード表ZJP1、勘定設定160020、償却領域1の固定資産勘定設定を確認しました。
取得側ではAPC勘定213100と取得価額の反対勘定461310、除却側では売却益・売却損・廃棄損等の勘定、通常償却側では減価償却累計額213900と減価償却費827030を実画面で確認しています。
また、「データが保存されました」のメッセージを確認し、保存処理が正常に完了したことも確認できました。
AO90は、固定資産の取得から除却・減価償却まで、どのG/L勘定が関係するかを読み解く重要な設定画面です。一方、実際の仕訳結果まで確認するには、資産取引とFI伝票を別途追う必要があります。

