MIGOでFML_CUST097が発生|品目元帳(Material Ledger)の設定不足を解消する
MIGOで購買発注の入庫を進めたところ、品目元帳(Material Ledger)が本稼働開始されていないことを示すエラーに遭遇しました。今回は、エラー画面の指示どおりにCKMSTARTを実行するだけでは解消せず、品目元帳の有効化と品目元帳タイプの割当まで遡って設定を確認しています。
今回やること
購買発注 4500002273 を参照して MIGO で移動タイプ 101 の入庫を進めたところ、SAPメッセージ(クラス FML_CUST/番号 097)が表示されました。画面では、会社コード Z091 の評価エリアについて品目元帳が本稼働開始されていないことと、CKMSTART で評価エリアを本稼働に設定するよう案内されています。
この記事では、CKMSTART、OMX1、OMX2、OMX3 を使って原因を切り分け、今回の検証環境で不足していた品目元帳設定を補ったあと、本稼働開始まで確認します。最後に MIGO を再実行し、FML_CUST097が再発しなくなったところまでを確認します。
| 項目 | 検証内容 |
|---|---|
| 製品 | SAP S/4HANA 2025 On-Premise |
| 画面 | SAP GUI for HTML |
| 検証時期 | 2026年8月 |
| 対象領域 | MM(在庫管理)/品目元帳 |
| 対象組織 | 会社コード・プラント・評価エリア Z091 |
| 主な操作 | MIGO、CKMSTART、OMX1、OMX2、OMX3 |
| 検証レベル | エラー発生 → 設定確認・修正 → 品目元帳の本稼働開始 → MIGO再確認 |
注意:以下の Z091、品目元帳タイプ 9000、価格決定 2 などは今回の検証環境で使用・確認した値です。SAP標準の推奨値や、すべての環境で採用すべき唯一の設定値を示すものではありません。
1. MIGOでFML_CUST097が発生
MIGO で購買発注 4500002273 の入庫を進めたところ、Performance Assistantに「ML が会社コード Z091 の評価エリアに対して本稼動開始されていません」と表示されました。メッセージ番号は FML_CUST097 です。

実機で確認した事実:メッセージ本文では、会社コード Z091 の評価エリアについて品目元帳が本稼働開始されていないとされ、対処として CKMSTART が案内されていました。
SAP公式情報:SAP KBA 2396864でも、SAP S/4HANAでFML_CUST097「ML is not productive for any valuation area of company code XXXX」が発生する事象が扱われています。同KBAのキーワードには OMX1、OMX2、OMX3、CKMSTART、MIGO も含まれています。
SAP KBA 2396864:Material Ledger Obligatory for Material Valuation in S/4HANA systems
2. CKMSTARTを実行すると、別の前提不足が分かった
エラー画面の案内に従い、CKMSTART の「品目元帳の本稼動開始」でプラント Z091 を指定し、まずテスト実行しました。ところが、今度は「品目元帳はプラント Z091 で有効ではありません」と表示されました。

筆者の判断:この結果から、今回の環境では単に CKMSTART を実行する段階ではなく、その前提となるプラント/評価エリア側の品目元帳設定を確認する必要があると判断しました。
3. OMX1・OMX2・OMX3で品目元帳設定を確認する
3.1 OMX1:Z091では「ML 有効」が未選択だった
OMX1 の「品目元帳有効化」を確認すると、評価エリア Z091 の行では「ML 有効」が未選択で、品目元帳タイプと価格決定も空欄でした。

この状態は、直前の CKMSTART で「品目元帳はプラント Z091 で有効ではありません」と表示された結果と整合します。
3.2 OMX2:今回使用する品目元帳タイプを確認
OMX2 の「品目元帳タイプ定義」を確認すると、今回の検証環境には品目元帳タイプ 9000 が存在していました。画面上では通貨タイプ/評価として 10 が設定されています。
注意:9000 は今回の検証環境で選択した品目元帳タイプです。この値そのものをSAP標準の推奨値として一般化しません。
3.3 OMX3:評価エリアZ091へ品目元帳タイプ9000を割り当てる
OMX3 で評価エリア Z091/会社コード Z091 に品目元帳タイプ 9000 を割り当てました。

3.4 OMX1:品目元帳を有効化した状態を確認
設定後の OMX1 では、評価エリア Z091 の品目元帳タイプが 9000 となり、「ML 有効」が選択され、価格決定に 2 が表示されました。

ここで確認している 9000 と価格決定 2 は、あくまで今回の実機で確認した設定値です。
4. CKMSTARTで品目元帳を本稼働開始する
品目元帳設定を整えたあと、CKMSTART でプラント Z091 の本稼働開始を実行しました。ジョブログでは成功メッセージが並び、最終的に「プラント Z091 を現在使用できます」「ジョブが終了しました」と表示されています。

SAP公式仕様:SAP S/4HANAのSAP Helpでは、品目元帳を使用する関連プラント/評価エリアで品目元帳を有効化し、各プラントのカスタマイジングを確認したうえで、本稼働開始用のデータを準備する流れが示されています。また、本稼働開始用データの準備は元に戻せない処理であることも明記されています。
SAP Help Portal:Installation: Actual Costing/Material Ledger
注意:CKMSTART の本稼働開始は、エラー解消のために安易に試す操作として扱うべきではありません。対象プラント、通貨設定、品目元帳のカスタマイジングを確認したうえで実行する必要があります。
5. MIGO再実行でFML_CUST097が解消したことを確認
品目元帳の本稼働開始後に MIGO を再実行すると、FML_CUST097は再発しませんでした。その代わり、次の処理段階で「テーブル 169P を確認してください: エントリ Z091 がありません」という別のエラーが表示されました。

実機で確認した事実:品目元帳の設定と本稼働開始後、MIGOではFML_CUST097が再発せず、処理は別のT169Pエラーまで進みました。
筆者の判断:今回の検証環境では、FML_CUST097の直接の切り分けとして、品目元帳タイプの割当、品目元帳の有効化、本稼働開始を確認することが有効でした。一方、この時点では入庫全体が正常完了したわけではありません。T169Pは別の設定課題として切り分ける必要があります。
FML_CUST097の原因と言える範囲
| 区分 | 今回確認できた内容 |
|---|---|
| 実機で確認した事実 | MIGOでFML_CUST097が発生し、CKMSTARTでは品目元帳がプラントZ091で有効ではないと表示された。OMX1ではZ091のML有効が未選択で、品目元帳タイプも空欄だった。設定後にCKMSTARTの本稼働開始が成功し、MIGO再実行ではFML_CUST097が再発しなかった。 |
| SAPの一般仕様 | SAP KBA 2396864はS/4HANAでのFML_CUST097を扱い、SAP Helpは関連プラント/評価エリアでの品目元帳有効化、カスタマイジング確認、本稼働開始の流れを示している。 |
| 筆者の判断 | 今回の環境では、評価エリアZ091の品目元帳設定が未完了だったことがFML_CUST097につながっていたと判断する。ただし、品目元帳タイプ9000や価格決定2を全環境の正解として一般化しない。 |
今回の実機検証で分かったこと
- FML_CUST097が出た場合、メッセージにCKMSTARTが示されていても、まず対象プラント/評価エリアで品目元帳が有効になっているかを確認する必要があります。
- 今回の実機では、OMX1でZ091の「ML 有効」が未選択、品目元帳タイプが空欄であることを確認し、OMX3で品目元帳タイプを割り当てたうえでOMX1の有効化状態を確認しました。
- 設定後にCKMSTARTの本稼働開始を完了すると、MIGO再実行でFML_CUST097は再発しませんでした。
- FML_CUST097の解消と、MIGO入庫全体の正常完了は分けて確認する必要があります。今回も次のT169Pエラーが残ったため、この記事では「FML_CUST097が解消した」ところまでを確認結果とします。
今回の範囲外
T169Pエラーの対処、MIGOによる移動タイプ101の最終転記、生成された入出庫伝票・会計伝票・品目元帳伝票、MIRO、実際原価計算(Actual Costing)の設定や月次処理まではこの記事では扱いません。これらは後続の実機検証として切り分けます。
FML_CUST097の切り分け後に続いたT169Pなどの確認と、最終的な入庫転記結果は、MIGO 101入庫の実機検証で扱っています。さらに、入庫後のMIROとFI仕訳のつながりは、PO→MIGO→MIROの実機検証で確認できます。

