MIGO 101入庫で在庫・FI・品目元帳伝票の生成を確認する

今回やること

購買発注を作成した後、MIGOで移動タイプ101の入庫を転記すると、SAPでは在庫だけでなく、入出庫伝票や会計伝票など複数のデータが更新されます。

今回は、購買発注を参照してMIGOの101入庫を実行し、正常転記された後に、入出庫伝票、在庫、FI会計伝票、品目元帳(Material Ledger)、購買発注履歴まで実機で追跡しました。

  • 入出庫伝票が作成されること
  • 保管場所在庫が更新されること
  • FI会計伝票が作成されること
  • 実際にどのG/L勘定へ転記されたか
  • 品目元帳側の伝票番号が生成されること
  • 購買発注履歴へ入庫実績が追加されること

MIGOの画面で「転記できた」だけで終わらせず、MMの入庫がFIや品目元帳へどのようにつながったのかを、実際に生成された伝票を基準に確認します。

なお、入庫成功までには品目元帳の設定不足に加えて、T169Pと許容範囲の設定不足も発生しました。本記事では、その経緯を簡単に触れたうえで、正常入庫後の確認を中心に扱います。

検証情報

項目 今回の検証環境
製品 SAP S/4HANA 2025 On-Premise
UI SAP GUI for HTML
検証日 2026-08-16
対象領域 MM / FI / 品目元帳
主なT-code MIGO、SE16N
会社コード Z091
プラント Z091
保管場所 0001
購買発注 4500002273
品目 2
数量 10 EA
移動タイプ 101
通貨 JPY

移動タイプ101は、購買発注に対する入庫に使用される移動タイプです。SAP Helpでも、移動タイプ101は「購買発注に対する入庫(Goods Receipt for Purchase Order)」として説明されています。

SAP Help Portal:購買発注に対する入庫

入庫成功までに追加で発生した2つのエラー

前回の検証では、品目元帳の設定不足によって発生していたFML_CUST097を解消し、MIGOの処理がさらに先へ進むところまで確認しました。

その後、同じ購買発注4500002273で入庫を続けると、まず次のメッセージが発生しました。

テーブル 169P を確認してください: エントリ Z091 がありません

実機でT169Pを会社コードZ091で確認すると、該当するエントリが存在していませんでした。

SAP KBA 3553750では、在庫移動(Goods Movement)時にT169Pのエントリが存在しない場合のメッセージとして、SAPメッセージ(クラス M8/番号 100)が案内されています。今回の日本語表示の実機画面とも内容が一致します。

SAP KBA 3553750

MIGOのログ照会に表示されたT169Pの会社コードZ091エントリエラー
図1:MIGO実行時に発生したT169Pのエラー

そこで今回の検証環境では、「請求書コピー確認」の設定で会社コードZ091を追加しました。設定後にT169Pを再確認すると、Z091のエントリが1件存在する状態になりました。

MIGOを再実行するとT169Pのエラーは解消しましたが、続いて次のエラーが発生しました。

許容範囲キー VP(会社コード Z091)の許容範囲を設定してください

SAP公式情報では、VPは移動平均価格の差異(Moving Average Price Variance)に関する許容範囲キーとして説明されています。

SAP KBA 2474662

今回の環境では、会社コードZ091に必要な許容範囲を追加してからMIGOを再実行しました。ここで設定した値は今回の検証環境で採用した値であり、SAP標準の推奨値や、他環境でも同じ値を使用すべきという意味ではありません。

MIGOで101入庫を再実行する

設定不足を補完した後、MIGOを新しい画面から起動し、購買発注4500002273を参照しました。

項目 値
処理 入庫
参照 購買発注
購買発注 4500002273
移動タイプ 101
品目 2
数量 10 EA
プラント Z091
保管場所 0001
転記日 2026-08-16

今回の実機では転記後、画面下部に「入出庫伝票 5000003021 が転記されました」と表示されました。これにより、購買発注4500002273に対する101入庫が正常に転記されたことを確認できました。

MIGOで入出庫伝票5000003021が転記された成功メッセージ
図2:MIGOで入出庫伝票5000003021が正常転記された結果

入出庫伝票で101入庫の内容を確認する

続いて、作成された入出庫伝票(Material Document)5000003021を照会しました。

実機では、入出庫伝票5000003021、会計年度2026、品目2、数量10 EA、プラントZ091、保管場所0001、利益センタZ091TEST02、移動タイプ101を確認できました。

SAPでは在庫移動を転記すると、その記録として入出庫伝票が作成されます。

SAP Help Portal:Results of a Goods Receipt Posting

入出庫伝票5000003021の品目2、数量10 EA、保管場所0001、利益センタZ091TEST02
図3:入出庫伝票5000003021で101入庫の内容を確認

入庫後の在庫数量をMARDで確認する

次に、保管場所単位の在庫を確認しました。MARDを品目2、プラントZ091、保管場所0001で確認したところ、LABSTは10.000でした。

項目 値
品目 2
プラント Z091
保管場所 0001
利用可能在庫 LABST 10.000
MARDで品目2、プラントZ091、保管場所0001のLABST 10.000を確認した画面
図4:MARDで品目2の利用可能在庫10 EAを確認

今回保存している実機画面から直接確認できるのは、入庫後の在庫が10 EAであることです。入庫前在庫を示す画面は今回の記事では確認していないため、「0 EAから10 EAへ増加した」とはせず、入庫後に10 EA存在することを確認した、と整理します。

FI会計伝票を確認する

今回の実機では、入出庫伝票5000003021に関連するFI会計伝票として5000000000が生成されていました。

借方/貸方 G/L勘定 勘定名 金額
借方 125100 原材料 - 主要材料 10,000 JPY
貸方 461200 入庫/請求-仮勘定外注 10,000 JPY
FI会計伝票5000000000の125100と461200の10,000 JPY明細
図5:101入庫で生成されたFI会計伝票5000000000

今回の伝票では、借方側が在庫勘定、貸方側が入庫/請求仮勘定(GR/IR Clearing Account)となりました。内部処理キーは借方BSX、貸方WRXでした。

どのG/L勘定になるかは、評価クラスや自動勘定設定などの設定条件によって変わります。SAP Helpでは、品目の評価クラスを在庫勘定の決定に使用すると説明されています。今回の125100と461200は、今回の品目・会社コード・設定条件で実際に生成された伝票の結果であり、他環境でも同じ勘定になるという意味ではありません。

SAP Help Portal:Valuation Structure

また、今回の会計伝票では利益センタZ091TEST02、セグメント1000_Cも確認しました。

品目元帳側の伝票番号も生成されていた

入出庫伝票5000003021から関連する会計伝票の一覧を確認すると、次の2つが表示されました。

  • 5000000000:会計伝票
  • A000117S00:品目元帳
会計伝票一覧にFI会計伝票5000000000と品目元帳A000117S00が表示された画面
図6:会計伝票一覧でFI会計伝票と品目元帳を確認

SAP Helpでは、品目元帳伝票(Material Ledger Document)は、品目評価に関係する取引を記録する伝票として説明されています。

SAP Help Portal:Material Ledger Document

今回の実機では、101入庫に関連して品目元帳側の伝票番号A000117S00が生成されたことまで確認できました。一方で、この伝票をさらに開き、価格分析や在庫価額の変化などの明細内容までは今回保存している実機画面では確認していません。

そのため、本記事で確認済みとして扱うのは「101入庫に関連する品目元帳側の伝票番号を確認できた」ところまでです。実際原価計算(Actual Costing)の設定や月次処理も本記事では扱いません。

購買発注履歴も更新された

最後に、購買発注4500002273の購買発注履歴を確認しました。

項目 値
移動タイプ 101
入出庫伝票 5000003021
数量 10 EA
金額 10,000 JPY
転記日 2026-08-16
購買発注4500002273の履歴に101入庫5000003021、10 EA、10,000 JPYを確認した画面
図7:購買発注4500002273の購買発注履歴に101入庫を確認

この結果から、MIGOで作成された入庫伝票が単独で存在するだけではなく、元となった購買発注にも入庫実績として紐付いていることを確認できました。

101入庫後に確認できたつながり

今回の実機結果は、購買発注4500002273 → MIGOの移動タイプ101 → 入出庫伝票5000003021 → 保管場所在庫10 EA → FI会計伝票5000000000 → 品目元帳A000117S00、という流れで確認できました。さらに、購買発注4500002273の購買発注履歴にも入庫実績が記録されました。

MIGOの101入庫は、単に在庫数量を更新する操作として見るより、MMの入出庫伝票、FIの会計伝票、品目元帳、購買発注履歴までつながる処理として確認すると、モジュール間の関係が理解しやすくなります。

まとめ

今回は、購買発注4500002273を参照してMIGOの移動タイプ101で10 EAを入庫し、その後のデータを実機で追跡しました。

  • MIGOで101入庫が正常転記された
  • 入出庫伝票5000003021が作成された
  • MARDで品目2、プラントZ091、保管場所0001の在庫10 EAを確認した
  • FI会計伝票5000000000が生成された
  • 実際の仕訳は125100 / 461200、10,000 JPYだった
  • BSX / WRXによる自動勘定設定の結果を確認できた
  • 品目元帳側の伝票番号A000117S00を確認した
  • 購買発注4500002273の履歴へ101入庫が記録された

入庫成功までには、品目元帳設定に続いてT169Pと許容範囲の設定不足もありましたが、それらを解消したことで、最終的にMMからFI・品目元帳まで一連の処理を確認できました。

次の検証では、この購買発注に対して請求書照合まで進め、購買発注(PO)→ MIGO → MIROの購買サイクル全体と、その仕訳のつながりを確認します。