FI-AA旧資産移行を始める|旧データ転送セグメントの設定

今回やること

SAP S/4HANAの固定資産管理(FI-AA)で旧資産を移行する前準備として、旧データ転送セグメント(Legacy Data Transfer Segment)を設定します。

今回の検証では、新しく作成した会社コードを対象に、旧データ転送セグメントを作成し、転送日付や伝票タイプを設定して保存しました。

保存時には、LDT日付の変更に伴って会計年度の確認を促す警告も表示されました。設定値を入力して終わりではなく、保存結果と保存後の会計年度情報まで実機で確認します。

この記事では、旧データ転送セグメントの初期設定までを対象とします。旧資産マスタの登録や振替価額の転記は後続の検証として扱います。

検証情報

項目 内容
SAP製品 SAP S/4HANA 2025 On-Premise
UI SAP GUI for HTML / Fiori
対象領域 FI-AA 固定資産管理
対象会社コード Z091
元帳 0L
会計年度バリアント V3
検証時期 2026年9月
対象画面 会社コード設定の実行-固定資産管理固有
検証内容 旧データ転送セグメントの作成・設定・保存確認

会社コードZ091などの値は、今回の検証環境で使用しているテスト用の設定値です。SAP標準の推奨値を示すものではありません。

旧データ転送セグメントとは

SAP Helpでは、旧データ転送を開始する前に、旧データ転送のパラメータを持つ旧データ転送セグメントを登録する手順が説明されています。

旧データ転送セグメントでは、転送日付、転送ステータス、伝票タイプなどを管理します。

SAP Help上では、新しく登録した旧データ転送セグメントのステータスは最初に「準備中」となります。「準備中」では旧データ転送の設定が未完成でも保持できますが、旧データ転送の転記はまだ実行できません。

また、最初の旧データ転送セグメントに設定した転送日付をもとに、固定資産管理の現会計年度や最終決算会計年度が決定されると説明されています。

今回の実機検証では、この初期設定と保存後の状態を確認します。

設定前の状態を確認する

旧データ転送の設定画面を開き、まず設定前の状態を確認しました。

この時点では、画面上の順序番号は「0」で、転送日付と伝票タイプは未設定でした。転送ステータスは「0 準備中」と表示されています。

旧データ転送設定前の画面。順序番号0、転送日付未設定、旧データ転送ステータス0準備中を確認
図1 旧データ転送セグメント設定前の状態

今回確認した主な状態は次のとおりです。

項目 設定前
順序番号 0
転送日付 未設定
転送ステータス 0 準備中
伝票タイプ 未設定
履歴 なし

まずこの状態から、新しい旧データ転送セグメントを作成しました。

旧データ転送セグメントを作成する

新しい旧データ転送セグメントを登録すると、実機ではセグメント00001が作成されました。

画面上では順序番号として「1」と表示されます。

セグメント作成時には、新しい旧データ転送セグメントが登録されたことを示す成功メッセージも確認できました。

ただし、この時点では転送日付などの設定と会社コード設定全体の保存はまだ完了していません。

そのため、今回の検証ではこのメッセージだけを保存完了の根拠とはせず、必要なパラメータを入力した後の保存結果まで確認しています。

転送日付と伝票タイプを設定する

作成したセグメントに、旧資産移行で使用するパラメータを設定しました。

今回入力した値は次のとおりです。

項目 今回の設定値
旧データ転送セグメント 00001
転送日付 2026/08/31
転送ステータス 0 準備中
伝票タイプ AA 資産転記
コメント Z091 旧資産移行 2026/08/31

 

旧データ転送セグメント1に取込日08/31/2026、ステータス0準備中、伝票タイプAA資産転記を設定した画面
図2 旧データ転送セグメントに転送日付と伝票タイプを設定

転送日付には2026/08/31を設定しました。

SAP Helpでは、転送日付は旧資産をSAPシステムへ転送する基準となる日付として扱われます。また、新規会社コードでは最初の旧データ転送セグメントの転送日付をもとに、固定資産管理の会計年度情報が決定されます。

伝票タイプについては、今回の実機ではAA 資産転記を設定しました。

ここで使用している2026/08/31や伝票タイプAAは、今回の検証環境で実際に使用した値です。他の環境でも同じ値を設定すべきという意味ではありません。

設定を保存する

必要な項目を入力した後、会社コード設定を保存しました。

保存後、画面下部に会社コードZ091の設定が保存されたことを示す成功メッセージが表示されました。

LDT日付変更に伴う会計年度確認の警告と会社コードZ091の設定保存完了メッセージ
図3 保存時に表示されたLDT日付の警告と保存完了メッセージ

今回の検証では、この保存メッセージをもって、入力した旧データ転送セグメントの設定が保存されたことを確認しています。

セグメント作成時にも成功メッセージは表示されましたが、それとは別に、会社コード設定としての保存結果まで確認した点が重要です。

保存時にLDT日付の警告が表示された

保存時には成功メッセージだけでなく、LDT日付の変更に関する警告も表示されました。

画面では、LDT日付が変更されたため、会計年度の調整が必要か確認するよう促すメッセージを確認しています。

ここでいうLDTはLegacy Data Transfer、つまり旧データ転送を指します。

この警告について、今回の実機結果だけから内部処理を推測することは避けます。

一方、SAP Helpでは、最初の旧データ転送セグメントの転送日付に基づいて、固定資産管理の現会計年度と最終決算会計年度が決定されることが説明されています。

そこで、保存後に実際の会計年度情報を確認しました。

保存後の会計年度を確認する

保存後の会社コード設定を確認すると、今回の環境では次の値になっていました。

項目 確認結果
会社コード Z091
元帳 0L
会計年度バリアント V3
最新会計年度 2026
償却領域の最終決算年度 2025
決算日 2026/03/31

 

保存後の元帳設定画面。元帳0L、最新会計年度2026、会計年度バリアントV3、償却領域の最終決算年度2025を確認
図4 保存後の元帳・会計年度設定

今回設定した転送日付は2026/08/31で、保存後の画面では最新会計年度2026を確認できました。

ただし、この記事では「この画面にこの値が表示された」という実機結果と、SAP Helpに記載されている「転送日付をもとに会計年度情報が決定される」という一般仕様を分けて扱います。

個々の年度値がどのような条件で決まるかを、今回の1環境だけから一般化はしません。

この時点では旧資産の転記はまだ行わない

旧データ転送セグメントを保存した時点で、ステータスは引き続き「準備中」です。

SAP Helpでは、実際に旧データを転送する際には、旧データ転送ステータスを「進行中」または「進行中(他の転記可能)」に変更する流れが示されています。

今回の検証でも、この後に旧資産の登録や振替価額の転記へ進みましたが、ここから先は旧資産移行そのものの検証になるため、この記事では扱いません。

旧データ転送セグメントの作成と初期パラメータの保存までを、ひとつの区切りとします。

今回確認できたこと

SAP S/4HANAのFI-AAで、新会社コードの旧資産移行を始めるために旧データ転送セグメントを設定しました。

実機では、設定前の状態からセグメント00001を作成し、転送日付2026/08/31、転送ステータス「0 準備中」、伝票タイプAA 資産転記などを設定して保存できました。

保存時にはLDT日付変更に関する警告が表示され、保存後には最新会計年度2026などの会計年度情報も確認しています。

今回のポイントは、単にセグメントを作成するだけでなく、転送日付を設定した後の保存結果と会計年度情報まで確認したことです。

次の工程では、FI-AAで旧資産を扱うために必要な周辺設定と、実際の旧資産移行を順に確認していきます。

SAP公式情報