MIGO 561で初期在庫を投入してFI・ML伝票まで確認する

今回やること

新会社コード(Company Code)側で後続の販売・出庫テストを進めるには、対象品目に在庫が必要です。今回は、購買発注を参照する101入庫ではなく、MIGOの移動タイプ561を使って初期在庫を投入し、その後に何が生成・更新されるかを実機で追います。

確認するのは、561の転記結果、入出庫伝票(Material Document)、財務会計(FI)の会計伝票(Accounting Document)、品目元帳(Material Ledger)の関連伝票、そして転記前後の利用可能在庫です。561でどこまで確認すれば「初期在庫が正しく入った」と判断できるかを、実際の伝票番号と仕訳を使って整理します。

検証情報

項目 確認内容
SAP製品 SAP S/4HANA
UI SAP GUI for HTML
検証日 2026-08-23
対象領域 在庫管理(Inventory Management)/FI/品目元帳
主な操作入口 MIGO
会社コード/プラント Z091/Z091
品目 12
移動タイプ 561(利用可能在庫初期化)
検証レベル 実転記+後続伝票+在庫更新の確認

移動タイプ561は何をするものか

SAP S/4HANAでは、移動タイプ(Movement Type)561は利用可能在庫(Unrestricted-Use Stock)に対する初期在庫数量の登録に使用されます。初期在庫登録は、既存システムや実在庫の数量をSAP上の帳簿在庫へ持ち込むための初期設定用途であり、物理的な在庫移動そのものを表す処理ではありません。

今回の検証でも、MIGOで「入庫」-「その他」を選び、移動タイプ561を使用しました。購買発注を参照する101入庫とは目的が異なるため、561では「初期在庫をどの品目・プラント(Plant)・保管場所(Storage Location)へ入れるか」と、その結果生成される伝票を確認することがポイントになります。

参考:SAP Help Portal - Goods Movement Type、SAP Help Portal - Initial Entry of Inventory Data

MIGOで561を転記する

MIGOで「入庫」-「その他」を選び、移動タイプ561を指定して転記しました。転記後、画面下部に「入出庫伝票 4900009558 が転記されました」と表示されています。

この時点で確認できるのは、561の転記処理が正常終了し、入出庫伝票が採番されたことです。

MIGOで移動タイプ561を転記し入出庫伝票4900009558が生成された画面
図1:MIGOで移動タイプ561を転記し、入出庫伝票4900009558が生成された状態

入出庫伝票で数量・利益センタ・G/L勘定を確認する

入出庫伝票4900009558を照会すると、品目12の数量が10 EAとして登録されており、利益センタ(Profit Center)Z091TEST02、G/L勘定498000が表示されました。画面下部では移動タイプ561と在庫タイプ「利用可能」も確認できます。

確認項目 実機結果
入出庫伝票 4900009558
品目 12
数量 10 EA
利益センタ Z091TEST02
G/L勘定 498000
移動タイプ 561
在庫タイプ 利用可能
入出庫伝票4900009558で数量10 EA、利益センタZ091TEST02、G/L勘定498000、移動タイプ561を確認した画面
図2:入出庫伝票4900009558で数量10 EA、利益センタ、G/L勘定498000、移動タイプ561を確認

FI伝票と品目元帳伝票の生成を確認する

入出庫伝票の伝票情報から会計伝票一覧を確認すると、FI会計伝票4900000000と、品目元帳伝票A000119400が表示されました。今回の561転記から、MMの入出庫伝票だけでなく、FIと品目元帳側の関連伝票までつながっていることを確認できます。

MIGO 561の入出庫伝票から確認したFI会計伝票4900000000と品目元帳伝票A000119400の一覧
図3:会計伝票一覧でFI会計伝票4900000000と品目元帳伝票A000119400を確認

品目元帳伝票について今回直接確認したのは、関連伝票としてA000119400が生成されていることと、その伝票番号です。品目元帳伝票の内部明細や価格差異、多通貨評価の内訳まではこの検証範囲に含めていません。

品目元帳伝票の表示方法はSAP S/4HANA 2025 FPS01の公式情報でも案内されています。参考:SAP Help Portal - Displaying Material Ledger Documents

FI会計伝票の仕訳を確認する

FI会計伝票4900000000をデータ入力ビューで確認すると、次の2明細が生成されていました。

借方/貸方 G/L勘定 テキスト 金額
借方 122100 製品 10,000 JPY
貸方 498000 在庫初期化 商品/製品 10,000 JPY
FI会計伝票4900000000で在庫勘定122100と在庫初期化勘定498000の10,000 JPY仕訳を確認した画面
図4:FI会計伝票4900000000の仕訳(122100/498000、各10,000 JPY)

今回の実機では、在庫勘定122100が借方、在庫初期化用の498000が貸方となりました。これらのG/L勘定番号は今回の検証環境の設定値であり、SAP標準の固定値や推奨値ではありません。

一般に入庫を転記すると入出庫伝票が作成され、評価対象の取引では会計伝票も生成されます。参考:SAP Help Portal - Results of a Goods Receipt Posting

在庫が0から10 EAへ増えたことを確認する

最後にテーブルMARD(保管場所別在庫データ)で保管場所在庫を前後比較しました。品目12、プラントZ091、保管場所0001の利用可能在庫は、561転記前が0.000、転記後が10.000です。

MARDで品目12の利用可能在庫が561転記前0.000から転記後10.000へ変化した比較
図5:MARDの利用可能在庫が561転記前0.000から転記後10.000へ変化

入出庫伝票が作成されたことだけでなく、対象保管場所の利用可能在庫が実際に更新されたことまで確認できました。初期在庫登録では、伝票の成功メッセージだけで終わらず、在庫数量とFI側の結果まで追うと確認しやすくなります。

101入庫や品目元帳設定の記事との役割分担

同じMIGOでも、561と101では確認したいポイントが異なります。今回の561は初期在庫投入が主題で、購買発注を起点としません。一方、購買発注を参照した101入庫とFI・品目元帳伝票の確認は、別記事「MIGO 101入庫で在庫・FI・品目元帳伝票の生成を確認する」で扱っています。

また、MIGO実行時に品目元帳設定不足でFML_CUST097が発生した経緯と設定修正は、「MIGOでFML_CUST097が発生|品目元帳(Material Ledger)の設定不足を解消する」に分離しています。本記事では設定トラブルの再説明は行わず、561が正常転記できた後の結果確認に集中します。

注意点

移動タイプ561は、通常の購買入庫を代替するための移動タイプではありません。SAPの公式情報では、既存システムからの在庫引継ぎなど、システム立上げ時の初期在庫登録として位置づけられています。本稼働後の通常業務で在庫を増やす場合は、その業務に対応する入庫プロセスと移動タイプを使用する必要があります。

また、今回の仕訳や勘定番号はZ091の検証環境で実際に生成された結果です。他環境では品目の評価クラスや勘定設定などにより使用されるG/L勘定が異なるため、498000や122100を固定的な標準値として扱わない点にも注意が必要です。

まとめ

MIGOの移動タイプ561で品目12を10 EA転記したところ、入出庫伝票4900009558が生成され、FI会計伝票4900000000と品目元帳伝票A000119400まで関連付けて確認できました。FIでは122100を借方、498000を貸方とする10,000 JPYの仕訳が生成され、MARDの利用可能在庫も0.000から10.000へ更新されています。

561による初期在庫投入では、転記成功だけでなく、入出庫伝票、FI会計伝票、品目元帳側の関連伝票、在庫数量を順に確認することで、MMから会計・評価までのつながりを実機で確認できます。